日本語学科で1年6カ月学んで9月に卒業する3名の女子留学生が士別市と木古内町の地域おこし協力隊に採用され、10月からそれぞれの市町で活躍します。「車の運転は初心者なので冬道が心配」「その地域の一番の特長を、まだ想像できません」などと不安を少し抱えながら、それぞれの母国の両親からは「自分で良く考えて決めたことだから頑張って。応援しています」と励まされ、新しい道へ胸をときめかせています。
士別市に採用されたのはベトナムのチャン・ティ・フォン・アィンさんと台湾のリョウ・ギ・ショウさんの二人。木古内町に採用されたのは中国北京のリ・ヨウさん。
チャンさんはベトナムの農業大学を獣医師の免許を取って卒業しています。大学で勉強していたときに北海道の農業を知り、もっと北海道農業を知りたいと志を立て、本校の日本語学科へ留学していました。「サフォークランド士別」でサフォーク種めん羊の飼養をする地域おこし協力隊員を募集していることを日本語学科長、佐藤元子先生が調べて、チャンさんに「応募してみませんか」と勧め、とんとん拍子に進みました。
「ベトナムでは犬や猫などのペットを診ることは出来ますが、士別で飼われている羊は体験したことがありません。診るのではなく、餌をやることなど羊のお世話をするのが仕事です」と、憧れの北海道の牧場がうれしいようです。
もう一人、士別市に赴くリョウさんは、観光振興が任務になります。「元々は日本でお菓子の専門学校に行きたいと思っていたのですが、ここで学ぶうちに美しい自然の北海道が好きになり、働きたいと思うようになりました。士別では広告のマーケティングの仕事が出来ますし、特産品を台湾に売りたいという市の希望もあるようなので、皆さんと話し合って地域の本当のニーズを理解していきたいです」と、夢を膨らませています。
リさんは、日本語学科で学んでいるうちに「北海道の人たちの親切なこと、寛容さを知り、豊かな自然も気に入り、北海道で働きたいと思うようになりました」という。木古内町で観光振興の仕事に就きます。運転免許取得にも挑戦中で、今週中に試験を受けます。免許を取ってから「冬道の初心者運転が心配です…」と不安なこともあるようです。木古内は北海道新幹線が青函トンネルを通って最初に止まる駅、いわば北海道の玄関口。道南の冬は東川町より寒さも雪も穏やかかもしれません。
地域おこし協力隊に外国人を道内で最初に採用したのは妹背牛町役場で、今年3月、本校日本語学科を卒業したベトナムのホー・ティ・ヌー・クインさんとグエン・トゥ・フオンさんの二人が妹背牛で活躍しています。妹背牛町企画振興課、塚原由大主幹によると「外国人の採用は通訳を業務とする外国人技能実習生は多くても、地域おこし協力隊には、留学ビザから切り替えて就労ビザを取得する手続きをしなければなりませんので、市町村役場にはその経験や前例がなかったので採用はあまり進んでいないのでしょう」と見る。
今回の士別市と木古内町の地域おこし協力隊募集、採用にあたっても佐藤学科長から塚原主幹に相談したことで、塚原主幹から大きな応援をいただいて実現しました。
3人は9月に卒業、10月1日から士別市、木古内町で地域おこし協力隊員として仕事を始めます。